いのちの森ニュース/速報

Nature News.1997年5月号)

今月のお知らせ

・春の自然観察会

・ヤゴ調査

・日射量調査

・昆虫調査

・鳥類調査

・植生調査

○ 5月5日:春の自然観察会

市民向けのいのちの森自然観察会を10時から15時にわたって行われました。

・ 参加者の内訳について(by 夏原)

出発時間 おとな 子供

10:00 2 0

10:30 4 3

11:00 5 2

11:30 6 1

12:00 5 1

12:30 2 2

13:30 8 1

14:30 5 3

15:00 2 2

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 計 39 15

でした。

・ 見られた鳥類について (by中村)

 科名     種名      分類      繁殖  備考

 ハト    キジバト     留鳥      ◎   巣材をくわえて巣のあるら                  しい所に出入りしていた                            

 ハト    ドバト      留鳥・帰化鳥  ?   周辺の民家では繁殖?

セキレイ   セグロセキレイ  留鳥      ?

セキレイ   ハクセキレイ   冬鳥          まだ京都市内では繁殖していないそうである

                            (大阪では既に留鳥)

ツバメ    ツバメ      夏鳥          周辺の民家では繁殖?

ヒヨドリ   ヒヨドリ     留鳥      ?

モズ     モズ       留鳥      ◎   4月19日には求愛行動が見られ、今回もほぼ同一の地点をウロチョロしていた

ヒタキ    センダイムシクイ 夏鳥          渡りの通過個体

シジュウカラ シジュウカラ   留鳥      ?   囀っていたが、繁殖は?

アトリ    カワラヒワ    留鳥      ◎?

ハタオリドリ スズメ      留鳥      ?   周辺の民家では繁殖

ムクドリ   ムクドリ     留鳥      ?   周辺の民家では繁殖

カラス    ハシブトガラス  留鳥      ?

カラス    ハシボソガラス  留鳥      ?

 この他に、4月19日にはイカルチドリ(チドリ科・留鳥)1羽、コムクドリ(ムクドリ科・夏鳥・渡りの通過個体)♀1羽、ツグミ(ヒタキ科・冬鳥)2羽を記録しています。

 夏には鳥はさらに少なくなると思いますが、秋にはまた渡りの途中で立ち寄る鳥も見られると思います。また、冬になれば、結構冬鳥が見られると思います。もう少し緑地の幅が広いと、もっと鳥も落ち着いていられると思うのですが。

・ 自然観察会を終えて…

 はじめての市民観察会として、成功でした。それには府立大学の学生の方々の力によるところが大きいでしょう。30-40分という時間もちょうど良かったと思います。午後来られた年配の女性の方は、ご主人が午前中に参加されて良かったというのを聞いて友人(?)とともに来たとおっしゃっていました。これには力づけられました。(by 夏原)

○ ケヤキの虫こぶについて (by 夏原)

 ケヤキヒトスジワタムシParacolopha morrisoni (Baker)

によるもののようです。この虫こぶからやがて有翅虫が出て、2次寄主ササ・タケへと移動します。

この虫こぶの中のアブラムシはよくスズメに食べられると図鑑にありました。スズメはアブラムシをよく食べるようで、カラスノエンドウやセイヨウカラシナの茎をしごいているのを見たことがあります。

 また、サクラに、

サクラハフシアブラムシTuberocephalus sasakii (Matsumura) 2次寄主ヨモギ

の虫こぶが、ありました

○ カブトムシ導入について

 京都市北区大森産のカブトムシの幼虫が400-500匹5月の末ころに手には入りそうなんですが、これをどうしようか,というはなしで,

 1)命の森の落ち葉の下に入れる

 2)夏に自然観察会をやるとして,子どもの土産にする。

などを考えられます。

  1. のときはクヌギが少ないことや調査との関係が問題あるか,という質問です。

 カブトムシなどについて,どうすればいいか,ご意見お願いします。(京都市緑化協会より)

<ディスカッション>

・ 僕は,幼虫の時の時に下手に動かすとカタワの虫ばっかりになってしまうのではと心配ですが。植物は導入しましたが,動物はまだ意図的に導入したのはありません。もちろん,樹木なんかにひっついて入ってきますが,,,したがって,もし,そういう条件を継続するとすれば,導入は見合わせた方がいいことになります。しかし,導入しても,そこに相応しいものなら定着するし,無理なら死に絶えるだけ,ということも言えます。(by 森本)

・  私が命の森に対し抱いていた基本的なイメージは,本来あの辺りに存在したであろう植生や環境を再生し,動植物が独りでに進出してくるのを待ち,その定着に少し手を貸す,といったものです.当初の構想も―もちろん何らの拘束力もありませんが―それに沿っていたのでは.だから蛍を入れたり,カブト虫を入れたりといったことは考慮の外だったと思います.導入した植物などについて入ってきたのは仕方がないけれど,人為的に入れるとなると,これまでの考えを根本的に変更することになるでしょう.あのビオトープを見せ物本位のミニ昆虫園か動物生態園に変える(それも別に悪くはない)ということなら,カブト虫であろうと何だって入れてよりでしょう.ですが,そのつもりがないのなら,カブト虫の導入は再考されるべきだと思います.第一,人為的導入を認めるということになると,我々はいったい何のために調査をしているのかわかりません.

 カブト虫幼虫の本来の生息地は朽ち木であり,腐りかけた木屑を食べております.従って枯葉は栄養的には不適だと思うのですが.ビオトープの隅に置かれた広葉樹の倒木は,今後きっとカブト虫をはじめとする甲虫の産卵場所になることでしょう.その際のカブト虫は,近くの子どもが離したものかもしれません.それもまたあの辺の「自然」の一部だと考えます.遠隔地から運ぶのと異なる問題だと思います. (by松良)

・ (松良さんの意見に対して)はい,実はぼくもほとんど同じ考えです。

しかし,カブトムシというのは子ども達の人気者ですから,

--これは京都のなんとかでとれたものです。この森にはまだいませんが,やって

--くるでしょうか?考えてみましょう。

という感じで,客寄せパンダのおみやげにするのですかね。何かいい案はありますか?

で,カブトムシですが,以前,京都の北白川で,樹木を剪定した残材にちょっと手を加えて堆肥化しようとしたとき,大量発生したことがありました。おや,まあというわけで,当時,ある先生が幼児の自然学習に取り組んでられて,カブトムシの発生を観察させようと,その幼虫やらサナギになったのやらを掘り出して根箱(根が観察できるように片面がガラスになった薄い箱)に堆肥ごと,入れてみてられたのですが,ハネやら角がとれたり胴体のないのやらが羽化して,これはまずかった,という話がありました。 (by森本)

・ 筋論からいうと好ましくないのでしょうが,そんなに厳しくならんでもという気もします。そのような企画をしたければ「じゃあ,すれば」(^^;)というオチしかないような。モニタリンググループが「好ましくないから

400-500匹というのは,ちょっと数が大きすぎる気もしますが,もともと都会の真ん中の公園なので,好む好止めなさい」といったら止めるのかなぁ...それで相手のメンツはどうなるのか(せっかく企画したのに),と心配もしちゃいます。「した場合の責任」までモニタリンググループにかかってくるのであれば,ちょっと考えもしますが。まざるにかかわらず人為的導入ってかなりの頻度で起こってくる気がします。自宅で飼育しきれなかった人たが;

「カメを放そう」「イモリも放そう」「フナも放そう」「金魚も放そう」「スズムシも」「オタマジャクシも」などなど。そういう利用の仕方?も都市緑化公園のひとつのあり方かもしれません。 (by島田)

・ 1. カブトムシは"多分"無理でしょう

カブトムシが生息するためには、

樹液の出る木

成虫が隠れるための下草やリター

幼虫が育つ腐植

が必要です。樹液はクヌギでなくても、アキニレも良く出すようで、生駒山の農家の庭でアキニレにノコギリクワガタやカブトムシが来ているのを捕らえたことがあります。また、大阪市内の公園ではアキニレの樹液にカナブンやシロテンハナムグリが集まっています。落葉や枯れ枝を積んでおけば、そこで産卵し、幼虫が育つはずです。ただし、その場所が一年中日影か半日影で乾燥しないことが必要です。問題は、いのちの森が狭いので、羽化したカブトムシはひとっとびで、外に飛び出してしまうことです。確かめたことはありませんが、カブトムシはどちらかというと不安定な環境に適応した種で、羽化後しばらくして分散する性質を持っているような"気がします"。さらに悪いことに、JRの操車場?の明るい照明が昆虫にとっては酒場のネオンのように見えることでしょう。

 私も実際に試したことはないので、一度試す価値はあると思います。カブトムシの幼虫は京都産でしょうね。

2. 動物(主に昆虫)の導入についての一般論

 これについては様々な主張があります。私は都市公園などには条件があれば、積極的に導入したら良いと常々考えていますが、そう言ってはいつも、ある自然史博物館の館長氏にしかられています。

 昆虫の多くは羽があって飛ぶので、生息条件が満たされないとすぐいなくなります。逆に条件が満たされれば、放って置いてもやってきます。積極的に導入する価値のあるのは、飛べないオサムシなど移動力の弱い種でしょう。しかし、こうした種は地域ごとに遺伝的な隔離があって亜種や地域個体群にわかれているので、導入には注意が必要だとされています。

 おそらく、最も考える必要があるのは池の生物でしょう。メダカやカワニナ、ホタルなどがいれば里山としての魅力が増しますが、どうでしょうか。コイやましてブラックバスなんかを入れられたら大変ですが。

 少し、違う立場から導入が必要な場合があると考えるのが、天敵です。小さな生息場所に隔離された個体群(特に葉を食べる虫)は不安定で、時に大発生することがあります。そのような場合に、寄生者や病気を導入することも必要でしょう。

<結果>

 事務局で講義した結果,カブトムシの導入は見送ることになりました。

○ ヤゴ調査の経過報告 (by松良)

 ヤゴ班のほうは,次のような2種類の定期的調査を行っております.(1)月一度,各池をすくい,採取したヤゴやその他の水生昆虫の種類を同定する.(2)毎週一回,決められた池の周囲に残されたヤゴの羽化殻を採取し,その種類と個体数を得る

.((1)については松良と川上が行い,(2)は川上単独で行う.)5月7日に,「湿地」に羽化用のネット(幅120cm×高さ80cm)を許可を得て立てました.本当は「池4」に立てたかったのですが,池の底が意外に急斜面であり,無理でした.なお,このネットは一般通路からは見えません.

  ・4月19日に採集したヤゴの種類が判明しましたので,以下に報告します(池の番号は設計図のそれと同じ).

 池1 ギンヤンマ,アジアイトトンボ,アオモンイトトンボ

 池2 イトトンボsp.

 池3 ショウジョウトンボ,ナニワトンボ(又はリスアカネ)

 池4 ショウジョウトンボ,シオカラトンボ,アオモンイトトンボ,ホソミトンボ

 池5 ショウジョウトンボ,シオカラトンボ,アオモンイトトンボ,ホソミトンボ

 湿地 ショウジョウトンボ,シオカラトンボ,アオモンイトトンボ,ホソミトンボ

以上,トンボ科4種,イトトンボ科3種が見つかりました.他の水生昆虫のうち,池2ではキベリクロヒメゲンゴロウとセスジゲンゴロウがアオミドロ(?)のマットの上に多数いました.

 ・羽化殻について

 4月19日・26日・5月3日の3回,池5(カワセミの崖のある池で,最も大きい)の端にある木杭についていたものを採集しております.

    ギンヤンマ     14個体

    クロスジギンヤンマ 19個体

    シオカラトンボ    2個体

    他にイトトンボもあったが,同定不能.

  ギンヤンマ類はspring speciesといわれ,春にそろって出現するトンボです.それらが産卵して,今後また夏以降に成虫が出現してきます.ギンヤンマは明るい水辺を,そしてクロスジギンヤンマは木陰の多い水辺を好むと言われております.2種類のギンヤンマ類幼虫が生息していたのは,この池の環境の多様性を物語っているのでしょう.

 ・その他の事柄

 ヤゴを採集するため,池の底を網ですくうのですが,底の状態が池によってずいぶん違います.アオミドロが繁茂しすぎているところでは,その枯死体が底に堆積し,腐食しており,ヘドロ状になっています.酸欠も進んでいるようで,ヤゴもあまりいません.そのうちアオミドロを半分除去すると田中氏は言われていました.夏を控え,かなり手を加えないと,これくらいの小さな池だと富栄養化のため多くの水生昆虫が死滅するかもしれません.pHも池により異なっておりました.淡水環境を考えるときには,藻類のことも考慮する必要があると思います.

・5月7日のヤゴ調査報告 (by 川上由弥子・松良 俊明)

・各池で採取されたヤゴの種類は以下の通り.

池1 アオモンイトトンボ・アジアイトトンボ・ノシメトンボ*         

池2 アオモンイトトンボ

池3 ショウジョウトンボ・アキアカネ*

池4 ホソミイトトンボ・シオカラトンボ・ショウジョウトンボ・アジアイトトンボ

池5 ホソミイトトンボ・シオカラトンボ・ショウジョウトンボ・アキアカネ*

湿地 ショウジョウトンボ・シオカラトンボ                  

 *はアカネ類であり,今回の調査ではじめて採集された.

・池の現況やpHの値など

池1 pH 9.0 イトトンボが多い.

池2 pH 6.6 ミゾソバ繁茂し,開水面ほとんどなし.ゲンゴロウ類が比較的多い.トンボ科のヤゴ

       は採集できず.

池3 pH 7.0 底質は粘土で,ヤゴは少ない.

池4 pH 6.9 浮き草に一面覆われている.底質はヘドロ化した泥が多い.

池5 pH 7.0 ホテイアオイが繁茂. 

湿地 pH 7.9 アオミドロ由来のヘドロが堆積.

今回採集合計は,トンボ亜目4種,イトトンボ亜目3種であり,前回からの累計種類数は,トンボ亜目が6種,イトトンボ亜目が3種となった.予想したほどはヤゴが定着していない.1年目ということもあるだろうが,それ以上に,トンボの飛来を期待するには周囲の環境が劣悪ということもあろう.また,どこにでもいるユスリカ幼虫(ヤゴの好適な餌)がほとんど全くといってよいほどいないのは,どうしてだろう.

 

○ 日射量調査の結果 (by森本淳子)

●4/18-5/5の17日間、日射量の測定をしました。

 1週間あたりに換算しています。

 設置場所 SR(MJ/m2/week) RSR(%) <96年12月の日射量からの増加率>

 落葉樹1 37.04 69.2 <2.81>

 落葉樹2 39.16 73.2 <1.39>

 常緑樹1 26.04 48.7 <3.49>

 常緑樹2 33.97 63.5 <4.56>

 草地(オープン) 53.50 100.0 <1.64>

・オープンでは12月に比べて2倍弱しか明るくなっていないのに、常緑樹では3倍から4倍明るくなっています。旧葉の落葉が起こったためだと思います。

・12月には落葉樹林は常緑樹林より2倍から4倍ほど明るかったのに、春になって差が少なくなりました。

これも、常緑樹の落葉時期であると同時に、落葉樹はまだ新葉展開途中の時期であるためだと思います。

先日(5/31)の日射量の調査結果です。

●5/5-5/31の27日間、日射量の測定をしました。1週間あたりに換算しています。

設置場所 SR(MJ/m2/week) RSR(%)

落葉樹1 18.70 38.8

落葉樹2 22.10 45.9

常緑樹1 14.32 29.7

常緑樹2 23.11 48.0

草地(オープン) 48.15 100.0

・落葉樹2は、丁度上の木(エノキ)が立ち枯れしていたので、ちょっと問題だな、と思っています。

○ 植物班・昆虫班・鳥班調査の結果

 中村さん、新メンバーの北川さんを中心に春植物の花や実のついものを中心に採集/同定/さく葉づくり、を行いました。みんなでワイワイと同定をやって、かなり学生さんのレベルアップにもなったかと思います。新しい植物がかなり増えました。また、木本の芽生えも樹林の下にかなり見られましたが、同定がまだ若干難しいので、もうすこし様子を見て記載することにします。

京都市都市緑化協会の広報誌にこの活動をのせるとかで、編集の方が取材にこられてました。(by森本)

・1997年5月23日に観察した鳥 (by 夏原)

スズメ

ムクドリ

ヒヨドリ

キジバト

オオヨシキリ(カワセミの池でさえずり)

キセキレイ(メス+幼鳥2)

カルガモ 1(カワセミの池)

・5月23日に採集した昆虫 (by 夏原)

モンシロチョウ(幼虫はアブラナ科を食べる)

ツバメシジミ(幼虫はシロツメクサなどを食べる)

ホシミスジ(幼虫はシモツケ、ユキヤナギを食べる)

ホソナガニジゴミムシダマシ(朽ち木)

ニホンカミナリハムシ(オオ?マツヨイグサ)

ナミテントウ、ダンダラテントウ、ナナホシテントウ、ヒメカメノコテントウ

ヒゲナガアブラムシの1種(セイタカアワダチソウ)

セイヨウミツバチ

ピットフォール(落とし穴)トラップで捕獲した昆虫他

1997.5.30-31、餌は蛹粉、トラップ30個

ヒゲジロハサミムシ, オオハサミムシ

アシミゾナガゴミムシ, ウスアカクロゴモクムシ, ウスモンコミズギワゴミムシ,

コガシラナガゴミムシ, コブマルエンマコガネ, セアカヒラタゴミムシ,

ヒメキベリアオゴミムシ, マルガタゴミムシ, マルガタナガゴミムシ,

オオタコゾウムシ, コメツキムシsp,

クロヤマアリ, トビイロケアリ, トビイロシワアリ, アメイロアリ, オオハリアリ,

ニッポンアカヤスデ, ヤスデの1種, オカダンゴムシ

巻き貝の1種, ナメクジの1種

・5月31日に採集した昆虫 (by 夏原)

ユミアシゴミムシダマシ(朽ち木)、モンキクロメクラガメ(薮)、

エノキワタアブラムシ(エノキ)、タイワンヒゲナガアブラムシ(アキノノゲシ)

アシブトハナアブ、ホソヒラタアブ

モンシロチョウ

・5月の調査で見つけた昆虫を2種追加分 (by 夏原)

1. ヤサイゾウムシ

2. セイタカアワダチソウのヒゲナガアブラムシ Uroleucon nigrotuberculatum

1は森本淳子さんが採集されたもので、海外から侵入した種で、日本では単為生殖しています。

2は名前がわかったもので、春と秋にセイタカアワダチソウで目立つ真っ赤なアブラムシです。これも海外からの侵入種で、和名はまだありません。なぜか、1990年代に入ってから目につくようになりました。

・植生班の調査報告 

 ?の植物名わかったものを連絡します

・ウラジロチチコグサ(チチコグサモドキに似ていた)

・カワラヨモギ(クソニンジンに似ていた)

・コヌカグサの仲間(きれいな姿のイネ科の植物)

・コウガイゼキショウの花の間から出ていた角のような

 葉は奇形ではないかということです。(by 北川)

 今回特に気の付いた植物を、以下に挙げておきます。

・ウラジロチチコグサ    初見の帰化植物でした。北川さんに最終的に確認をお

              願いしたものですが、一株しかなかったものを標本に

              してしまったので、また出てくるか少し心配です。6

              月3日には、大阪府大構内でも数株を見つけました。

              学名やこの種が載っている本が分かりましたら、教え

              て頂けませんか>北川さん

・ヒロハコウガイゼキショウ アオコウガイゼキショウとしていたもの。タマコウガ

              イゼキショウの可能性もあるので、再度同定をした方

              がよいかもしれません。花序から芽が出ていましたが、

              コウガイゼキショウの仲間は、こんな性質を持ってい

              るものが何種類もあるようなので、特に奇形というこ

              とではないように思います。

・オオバジャノヒゲ     もともとヤブランとしていたものを、当日ノシランと

              訂正したのですが、後でもう一度思い出してみて、誤

              りに気が付きました。ノシランはヤブランと同じくら

              い大きくて、真っ白い花を付けるので、全然違います。

 最後に、この日に確認した植物(草本、一部木本を含む)のリストを挙げておきます。科名及びその配列は、クロンキスト体系に基づいています。

科名         確認種名         備考

キク科      セイヨウタンポポ      帰化

         アカミタンポポ       帰化

         ノゲシ

         オニノゲシ         帰化

         ノアザミ

         アキノノゲシ

         トゲチシャ         帰化

         ヒメジョオン        帰化

         アレチノギク        帰化

         ヨモギ

         カワラヨモギ

         セイタカアワダチソウ    帰化

         ブタクサ          帰化

         マメカミツレ        帰化

         ハハコグサ

         チチコグサモドキ      帰化

         タチチチコグサ       帰化

         ウラジロチチコグサ     帰化

         フキ

         ノボロギク         帰化

         オニタビラコ

         ハキダメギク        帰化

         センダングサ sp.      帰化

アカネ科     ヤエムグラ

         ヘクソカズラ

ゴマノハグサ科  オオイヌノフグリ      帰化

         ムシクサ

モクセイ科    ヤマトアオダモ?

オオバコ科    オオバコ

         ツボミオオバコ       帰化

シソ科      トウバナ

         カキドオシ

ムラサキ科    キウリグサ         帰化

ミツガシワ科   ミツガシワ         植栽

ヒルガオ科    コヒルガオ?        帰化

ナス科      イヌホオズキ

         ヒヨドリジョウゴ

キョウチクトウ科 テイカカズラ

セリ科      セリ            植栽?

         ミツバ           植栽?

         ウド

フウロソウ科   アメリカフウロ       帰化

カタバミ科    カタバミ

         オッタチカタバミ      帰化

         ムラサキカタバミ      帰化

ブドウ科     ヤブガラシ

         エビヅル

アカバナ科    コマツヨイグサ       帰化

         アレチマツヨイグサ or オオマツヨイグサ 帰化

マメ科      コメツブツメクサ      帰化

         シロツメクサ        帰化

         ムラサキツメクサ      帰化

         カラスノエンドウ

         ヤハズソウ or ミヤコグサ sp.

         ヤブマメ?

         ネコハギ

バラ科      ヘビイチゴ

         ヤブヘビイチゴ

ユキノシタ科   ユキノシタ         植栽(園芸種?)

ベンケイソウ科  メキシコマンネングサ    帰化

サクラソウ科   コナスビ

アブラナ科    イヌガラシ

         スカシタゴボウ

         タネツケバナ

スミレ科     スミレ

         タチツボスミレ sp.

ミゾハコベ科   ミゾハコベ?

タデ科      イヌタデ?

         オオイヌタデ?

         ヒメツルソバ        帰化

         ミゾソバ

         ギシギシ

ナデシコ科    オランダミミナグサ     帰化

         ツメクサ

         ウシハコベ

         ノミノフスマ

アカザ科     シロザ

         (アカザ)

クワ科      カナムグラ

アケビ科     ミツバアケビ

ドクダミ科    ドクダミ

ヤマノイモ科   キクバドコロ

アヤメ科     ヒメシャガ         植栽

ユリ科      オオバジャノヒゲ      植栽

イネ科      ヒエガエリ

         クサヨシ

         (シマヨシ)        クサヨシの覆輪(園芸種)

         ヌカボ

         コヌカグサ sp.       帰化?

         ネズミムギ         帰化

         (ホソネズミムギ)     帰化

         イチゴツナギ

         スズメノカタビラ

         ナガハグサ         帰化

         スズメノテッポウ

         イヌムギ          帰化

         シバ

カヤツリグサ科  フトイ

         シラスゲ

         アゼスゲ

         カヤツリグサ sp.

イグサ科     イ

         クサイ

         ヒロハコウガイゼキショウ(タマコウガイゼキショウ?)

ツユクサ科    イボクサ

         ツユクサ

ウキクサ科    アオウキクサ

         ウキクサ?

シダ類      コウヤワラビ

         ベニシダ?

                  以上 107種類(帰化植物は34種) (by 中村)

○ 書籍紹介 

「身近な自然のつくり方−庭や窓辺に生き物を呼ぶ法−」

講談社ブルーバックス B1167:藤本和典 著(1997年4月)

箱庭的ですが,生き物のカレンダーあり,簡易ビオトープ断面図あり都市部の地図ありで,読みやすく見やすくできていると思いました。肝心の内容(そのような手法)が,果たして正しく,実効力のあるものかどうかはわかりませんが,よければ一度,店先で立ち読みでもしてみて下さい。 (by島田)

「ビオトープの基礎知識」 

財団法人 日本生態系協会 ヨーゼフ・ブラープ著

東大の加藤さんたちが訳されたものですが,基本文献として,いい本だと思います。6章以降も読みたいですね。 (by森本)