シダ調査報告
2003年7月29日
報告者:大阪府大 村上健太郎
しばらくぶりにいのちの森へ行ってきました。
1時間半ほどだけですが、一応シダなどを見てきました。
夏季に入って調査がしにくいのですが、
遊歩道下のシダなどをチェックしてきました。
・・・が、期待していた新出種はありませんでした。
特に消えている種もなく、今回は完全に横ばいという結果に。
前回、確認できなかったイワヒメワラビは遊歩道下で確認しました。
前回の新出種コハシゴシダ?は、胞子をつけていましたが、
コハシゴシダではなく、ハシゴシダかもしれないと思いました。
一個体しかなく、サンプルがとれないので、
胞子をまいてもらって、新たな個体が出るのを期待したいと思います。
ところで、時間が中途半端になったので、
ついでに隣の朱雀の庭に入って、シダを見てきました。
ノキシノブ
ベニシダ*
スギナ*
イノモトソウ*
リョウメンシダ*
クリハラン*
シノブ
オクマワラビ*
フモトシダ*
カタヒバ
オニヤブソテツ*
タチシノブ
ヤブソテツ*
ミドリヒメワラビ*
シケシダ*
イワヒメワラビ*
ワラビ*
イヌワラビ*
トラノオシダ*
イヌケホシダ*
(計20種)
*がいのちの森との共通種で、
かなり多くのシダが共通しています。
シダを勉強してからは、朱雀の庭をちゃんと見たのは初めてでしたが、
いのちの森のシダは、相当程度、
隣の朱雀の庭から入ってきているのだろうと思いました。
遊歩道下に多い
シケシダ、ミドリヒメワラビ、イノモトソウ、
イヌケホシダ、リョウメンシダ、オニヤブソテツなどは、
朱雀の庭にかなり大きな株がいくつかあり、
ここが移入源だと思います。
(種組成が酷似していますので)
特にリョウメンシダは自家受精では殖える確率の低い
シダなので、いったいどうやって入ってきたのかと
不思議に思っていましたが、移入源がはっきりしたと思います。
逆に言えば、オオイタチシダやイノデ、ウラボシノコギリシダ、イシカグマなど、
隣の朱雀の庭にないシダは、どこか遠いところから飛んできたか、
土に混じって入ってきたか?ということになるかと思います。
隣に日本庭園がなければ、
いのちの森のシダの種数はぐっと少なかった可能性が高いと思いました。
先日も松井さん@京大と、修学院離宮庭園のシダを調べてきたばかりなのですが、
期待していた稀少種は出なかったものの、
どの孤立林よりも多くの種数が出ており、
日本庭園のシダというのも、調べてみると面白そうだと感じました。
もちろん、修学院離宮が山林から近いという立地条件なども関係していそうですが。
造園学的に、シダの種数を増やすような「仕掛け」を考える意味では、
孤立林よりもむしろ、日本庭園のシダの生育地を研究すると面白いと感じました。
(ぜひ調べてみたいものです)
ついでに他に見たものをHP上にアップしておきました。
http://inochinomori.web.infoseek.co.jp/2003sida/catalog.html
京都ビオトープ研究会